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(2022年6月24日からカウント)


☆2022年6月23日の9条カフェでの報告
「ウクライナ情勢に伴う日本国内の改憲論議」
          フリージャーナリスト、
                   今田真人




筆者は2022年6月23日のくにたち・9条カフェで、「ウクライナ情勢に伴う日本国内の改憲論」と題して報告をしました。以下、そのレジュメを紹介します。
なお、会議はZoomによるオンラインで行なわれ、東京都国立市の市民や同元市民など、12人が参加しました。


2022年6月23日(木)9条カフェでの報告レジュメ 今田真人
《ウクライナ情勢に伴う日本国内の改憲論議》
【論点整理】

※【 】内の文字は、ネット上の記事のアドレス(URL)です。

《ウクライナ危機に乗じて主張されている主な議論》
➀核共有論
②敵基地攻撃能力論
➂GDP2%論
④憲法9条改悪論


《自民・維新などのウクライナ危機に乗じた議論の問題点》
【因果関係が支離滅裂】ロシアのウクライナ侵略をやめさせる方法論なのか、ロシアからの日本への脅威対策なのか、北朝鮮の南進・日本へのミサイル攻撃対策なのか、中国の台湾への武力侵攻対策なのか、いまの自民党などの軍事力増強・改憲の議論は、ひとつひとつの因果関係が支離滅裂である。ウクライナ危機に乗じている、あるいは火事場泥棒だともいうべき、でたらめである。

【以前からあった違憲の議論に利用】核共有論や敵基地攻撃論、GDP2%論・防衛費拡大論、ウクライナ問題発生以前から米国からの圧力や日本政府・自民党が主張してきた憲法に違反する議論ばかりである。憲法9条改悪は、文字通り憲法違反である。それをウクライナ危機に乗じて、装いを変えて強調し始めた形である。そもそも核共有論は憲法に基づく「非核三原則」に違反し、GDP2%論とその財源論は、戦後立法の財政法にも反する。
〔参考〕
・「第二次世界大戦後、赤字公債の濫発などへの反省をもとに、憲法の財政条項を具体化するための基本法として財政法が新たに制定されるに至った」(ネット「日本大百科全書(ニッポニカ)」)
〔参考〕財政法(1947年成立)
第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
② 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
③ 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

【日本は被侵略国ウクライナとの共通点がない】ウクライナは絶えず大国ロシアの侵略に苦しめられた国であり、近現代史ではいつも侵略国であった日本とは共通点がない。日本は、明治維新以来、何度も侵略戦争の加害国として振る舞い、被侵略国の経験がない。また、いまの日本も、近隣国から本格的に侵略される危険はあまりなく、むしろ中国・台湾の紛争や、北朝鮮・韓国の紛争で、米国による介入戦争に巻き込まれる危険の方が大きい。

【戦前回帰の憲法改悪に利用】ウクライナ問題を教訓とするといいながら、自民党が別の文脈で長年掲げて来た戦前回帰の憲法改悪に利用している。先の大戦で日本は日独伊という最大の侵略国の一つであった。日本国憲法と9条は、日本を二度と侵略国家にしないために、ポツダム宣言に従って連合軍の指導の下、わずかながら残っていた日本の民主的英知を集めて作成された。

【専守防衛こそ学ぶべきである】ウクライナは専守防衛を戦っている。核共有論や敵基地攻撃能力論などは、ロシア内を攻撃しないウクライナの戦い方とは真逆の戦い方である。専守防衛というなら、日本ではウクライナ危機で危険性が痛感された原発施設をなくすことが第一に必要である。日本の原発施設は北朝鮮からミサイル攻撃をされやすい日本海沿岸に集中している。

【国連憲章と国際法を尊重しない議論】敵基地攻撃能力(先制攻撃=侵略である)や核共有(残虐兵器の使用)の議論は、明らかな国連憲章や国際法への違反である。国連では核兵器禁止条約が採択・発効し、すでに国際法として成立している。ウクライナ危機の教訓をいうなら、国連憲章や国際法、国連総会決議を尊重し学ぶべきである。

【歴史修正主義の外交で国際的信用失墜】憲法に基づく平和外交は、侵略肯定の歴史修正主義であってはならない。最近の日本外交は、歴史修正主義の姿勢を強化している。昭和天皇の画像や、南京大虐殺や「慰安婦」問題、徴用工問題などでの外交姿勢を考えると、日本の国際的信用は地に落ちている。現状で万が一、日本が理不尽な侵略をされても、近隣諸国民からの心情的支援は受けにくい。
例えば、
★磯崎官房副長官「ヒトラーとムッソリーニと昭和天皇、同列に扱うということは全く不適切であり、極めて遺憾というふうに考えております。(ウクライナ政府に)当該写真が不適切であり、直ちに削除するように申し入れを行ったところでございます」(4月25日、日テレニュース)
【昭和天皇をヒトラーと同列に…ウクライナ政府“公式”アカウントが動画投稿、日本政府の抗議受け削除(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース】
★岸田首相はドイツのショルツ首相との会談で「慰安婦像が引き続き設置されているのは残念だ。日本の立場とは全く違う」と伝え、像撤去に向けた協力を求めた。(産経5月10日付)
【〈独自〉岸田首相、独首相にベルリンの慰安婦像撤去を要請 - 産経ニュース (sankei.com)】

〔参考文献〕
☆前田哲男「自民党安保提言批判――アジア版NATOへの道」
(『世界』2022年7月号「特集1、軍拡が平和をもたらすのか」)
☆松井芳郎「多国間主義の危機――ウクライナ侵略と国際社会の進路」
(『世界』2022年7月号「特集2、侵略の代償――ウクライナ危機と国際社会」)
☆穀田恵二「『戦争か平和か』――日本の進路が根本から問われる参院選挙」
(『前衛』2022年7月号)
☆川田忠明「核戦争の危機をどう乗りこえ前進するか――『核抑止力』の破綻と世界の構造変化」
(『前衛』2022年7月号)


《年表》
★2014年2月27日 ロシアがウクライナのクリミアへ軍事侵攻
★2014年3月18日 ウクライナ領土のクリミア半島を構成するクリミア自治共和国・セヴァストポリ特別市(ロシアへの編入の是非を問う住民投票は3月16日)をロシアの領土に加える。ロシア、クリミア、セヴァストポリの3者が調印した条約に基づき実行された。
★2014年3月27日 国連総会がロシアによるクリミア半島編入の住民投票を無効とする決議を採択
            (賛成100、反対11、棄権58で採決)
★2022年2月21日 ロシアがウクライナの一部であるドネツク州とルガンスク州を「共和国」として「独立」を承認。22日、ロシアが両「共和国」との間で「友好協力相互支援協定」を批准。
★2022年2月24日 ロシアがウクライナへの全面侵略戦争を開始
★2022年3月1日  日本の衆議院本会議でロシアのウクライナ侵略を非難する決議を議決
            (自民・公明・立憲・維新・共産など多数が賛成、れいわ新選組だけが反対)
★2022年3月2日  日本の参議院本会議でロシアのウクライナ侵略を非難する決議を議決
            (同上)
★2022年3月2日  国連総会がロシア軍の完全撤退などを要求する決議を採択
            (賛成141、反対5、棄権35で採択)
★2022年3月16日 国際司法裁判所(JCJ)がロシアに軍事作戦の即時停戦せよという仮保全措置を指示
★2022年3月24日 国連総会がロシア軍の民間人・民間施設への無差別攻撃を非難する人道決議を採択
            (賛成140、反対5、棄権38で採択)
★2022年4月7日  国連総会が同人権理事会のロシアの理事国資格を停止する決議を採択
            (賛成93、反対24、棄権58で採択)
★2022年4月26日 国連総会は常任理事国が安保理で拒否権を行使した場合にその状況を議論するための総会の会合を招集できることなどを定める決議を採択
            (無投票で採択)
【安保理での拒否権行使に「説明責任」 国連総会が決議案を採択 | 毎日新聞 (mainichi.jp)】
★2022年4月26日 自民党の政務調査会・安全保障調査会が提言「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」
★2022年5月6日  国連の安全保障理事会が、ロシア非難の文言はないものの、国連事務総長の平和解決の努力を支持する議長声明をロシアを含む全会一致で採択
【国連安保理 軍事侵攻以降初の議長声明採択 ロシア含め全会一致 | NHK | ウクライナ情勢】


《ウクライナ危機以前からの議論》
① 「エスパー米国防長官は9月16日、米政策研究機関『ランド研究所』で講演し、中国やロシアとの『大国間競争』に向けた同盟・パートナー諸国との関係を強化していく意向を示した上で、日本を含む同盟諸国に対し「防衛費を国内総生産(GDP)比で少なくとも2%に増額するよう要請する」と表明した」(産経2020年9月18日付、トランプ政権・在任2017年1月20日 - 2021年1月20日)
【防衛費を2%に 米国防長官が日本など同盟諸国に要求 対中露念頭 - 産経ニュース (sankei.com)】

②「NATOは国防費支出を24年までにGDPの2%以上に増やす目標を掲げている。20年はドイツ(1.56%)、イタリア(1.39%)などが達成できなかった。米国のトランプ前政権は欧州各国に国防費の増額を強く迫り、米欧関係の悪化につながった。バイデン現政権も2%目標の達成を重視する姿勢を変えない構えで、ドイツなどは対応を迫られそうだ」(日経2021年3月17日付)
【国防費のGDP2%達成、11カ国に増加 NATO報告書: 日本経済新聞 (nikkei.com)】

③「自民党総裁選に出馬表明した高市早苗前総務相は9月10日のテレビ朝日番組で、弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する『敵基地攻撃能力』の保有を巡り『敵基地を一刻も早く無力化した方が勝ちだ。使えるツールは電磁波や衛星ということになる』と述べた。同時に『向こうから発射の兆候が見えた場合だ。こちらから仕掛けたら駄目だ』と強調。その上で『強い電磁波などいろいろな方法でまず相手の基地を無力化する。一歩遅れたら日本は悲惨なことになる』とも語った。」(共同2021年9月10日配信)
【高市氏「電磁波で敵基地無力化」 テレビ番組で「一刻も早く」(共同通信) - Yahoo!ニュース】


《ウクライナ危機を契機とした論議》
① 「ロシアのウクライナ侵攻を受け、政府・自民党は防衛費の大幅増を目指している。政府が検討する敵基地攻撃能力の保有を視野に、自民党安全保障調査会は現在の国内総生産(GDP)比1%程度から2%へ引き上げる案を今後の論点整理として示した。2%なら米国と中国に次ぐ規模になる。憲法が掲げる平和主義の理念が一層、形骸化すると専門家は懸念する」「防衛費を巡っては、1976年に三木武夫内閣が1%枠を超えないとする方針を閣議決定。86年に中曽根康弘内閣が撤廃したが、1%程度で推移してきた」(東京新聞2022年4月9日付)
【防衛費増へ自民がGDP比2%案 ウクライナ侵攻受け 達成なら米中に次ぐ規模 平和主義の形骸化に懸念:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)】

② 安倍晋三元首相
・「日本は非核三原則があるが、世界はどのように安全が守られているのかという現実について議論していくことをタブー視してはならない」(2022年2月27日、フジテレビ番組で)
【「核共有」「防衛費倍増」「日銀は子会社」…安倍元首相の相次ぐ持論発信に党内から戸惑いの声:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)】

・「核共有」安倍元首相“現実直視し日本も議論進める必要ある”(2022年3月3日、安倍派の会合で)
~自民党の安倍元総理大臣は3月3日の派閥の会合で、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する「核共有」について、NATOに加盟している複数の国で実施されているとして「ウクライナがNATOに入ることができていれば、ロシアによる侵攻はおそらくなかっただろう」と指摘しました。そのうえで「わが国はアメリカの核の傘のもとにあるが、いざという時の手順は議論されていない。非核三原則を基本的な方針とした歴史の重さを十分かみしめながら、国民や日本の独立をどう守り抜いていくのか現実を直視しながら議論していかなければならない」と強調しました。
【「核共有」安倍元首相“現実直視し日本も議論進める必要ある” | NHK | 核兵器禁止条約】

・「(敵基地攻撃では)中枢を攻撃することも含むべきだ」(2022年4月3日、山口市内での講演で)
【「核共有」「防衛費倍増」「日銀は子会社」…安倍元首相の相次ぐ持論発信に党内から戸惑いの声:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)】

・「今こそ(憲法)9条は議論してもらいたい」(2022年4月21日、都内の講演で)
【同上】

・「防衛費GDP比2%は、5年くらいで達成していく目標を示していくことが大切だ」(2022年4月21日、安倍派の会合で)
【同上】

〔雑誌〕
・安倍晋三・山谷えり子「打撃力なしに国民の命守れない」
(『正論』2021年3月号)
・安倍晋三「『核共有』の議論から逃げるな――中国・ロシア・北朝鮮からこの国を守るために」(『文芸春秋』2022年5月特別号、「緊急特集・ウクライナ戦争と核」から)
・安倍晋三・河野克俊「今こそ核を語るとき」
(『Will』2022年5月号)
・安倍晋三・古森義久「いまこそ9条語るべき」
(『Will』2022年7月号)

③ 自民党
・「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に 幹部「気を使った」 自民党安保調査会が提言案(2022年4月21日)
~自民党安全保障調査会は4月21日の全体会合で、「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に変更し、対象に司令部など「指揮統制機能等」を追加した上で、政府に保有を求める提言案を了承した。防衛費は、国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に、5年以内の増額を提言した。
【「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に 幹部「気を使った」 自民党安保調査会が提言案:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)】

④ 岸田首相・内閣
・岸田首相が「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換え 衆院予算委で答弁、説明なしに既成事実化(2022年5月26日、衆院予算委)
~政府が保有を検討する敵基地攻撃能力に関し、岸田文雄首相は5月26日の衆院予算委員会で、自民党が提言で敵基地攻撃能力から改称するよう求めた「反撃能力」の表現を使って答弁した。5月23日の日米首脳会談でもこの表現でバイデン米大統領に防衛力強化の方針を説明。国民への説明や公の議論がないまま、歴代政権が長年使用してきた名称の変更を既成事実化している。
【岸田首相が「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換え 衆院予算委で答弁、説明なしに既成事実化:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)】

⑤ 日本維新の会
・核共有、議論は当然 「非核三原則、昭和の価値観」―松井維新代表(2022年2月28日、市役所の記者会見で)
~日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は2月28日、日本国内に米国の核兵器を配備し、日米で共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」に関し「議論するのは当然だ」との考えを示した。市役所で記者団の質問に答えた。松井氏は「非核三原則は戦後80年弱の価値観だが、核を持っている国が戦争を仕掛けている。昭和の価値観のまま令和も行くのか」と述べた。「米国の原子力潜水艦をリースしてもらうというような議論もすべきだ」とも語った。また、ウクライナに侵攻したロシアへの制裁で国内のエネルギー供給量に影響が及ぶ可能性があるとして「原発の稼働に消極的な立場だったが、短期的には再稼働やむなしだ」と述べた。
【核共有、議論は当然 「非核三原則、昭和の価値観」―松井維新代表:時事ドットコム (jiji.com)】

・ウクライナ侵攻“「核共有」議論開始を” 維新が政府に提言(2022年3月3日、政府への提言で)
~ロシア軍によるウクライナへの侵攻をめぐり、日本維新の会は、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策について議論を始めるよう政府に提言しました。日本維新の会の藤田幹事長は3月3日、外務省を訪れ、ロシア軍によるウクライナへの侵攻を受けた緊急提言を森事務次官に手渡しました。提言では、早期の停戦実現に向けた働きかけを強めることや、エネルギー価格の高騰対策などを迅速に実施することに加え、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策「核共有」について、議論を始めることを求めています。一方、提言の原案には、非核三原則の見直しについて議論を始めることも盛り込んでいましたが、削除されました。藤田幹事長は、記者団に対し「われわれは核を保有することまで率先して議論をけん引しようという意図は全くないので、ミスリードが起こらないように配慮した」と述べました。
【ウクライナ侵攻“「核共有」議論開始を” 維新が政府に提言 | NHK | ウクライナ情勢】

・維新が憲法9条改正の条文イメージ発表 「9条の2」新設訴え(2022年5月18日、発表)
~日本維新の会の藤田文武幹事長は5月18日の記者会見で、憲法9条に自衛隊を明記する党独自の「条文イメージ」を発表した。戦争放棄や戦力不保持をうたう9条の1項、2項を残したまま、「9条の2」を新設して「自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と記すべきだとした。藤田氏は会見で「自衛隊を違憲と主張する政党や有識者がいる中で、憲法に自衛隊を位置づけて、そうした主張の根拠を解消する」と述べた。
【維新が憲法9条改正の条文イメージ発表 「9条の2」新設訴え | 毎日新聞 (mainichi.jp)】


《国内の野党の反対の意見》
⑥ 各党の立場
・自民、核共有「議論の必要ある」 維新同調、立・共は反対(2022年3月6日、NHK番組で)
~与野党の参院幹部らは6日のNHK番組で、米国の核兵器を受け入れ国が共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」をめぐり議論した。自民党や日本維新の会が議論の必要性を訴えたのに対し、立憲民主、共産両党などは反対した。自民党の世耕弘成参院幹事長は「政府がやらなくても、自民党を含めていろんな場面で議論する必要がある」と指摘。その上で、「核共有をやれと言っているわけではない。しないのであれば、他にどんな手段で厳しい周辺状況に対応していくかを議論すべきだ」と述べた。維新も同調した。これに対し、立民の森裕子参院幹事長は「核をこれ以上拡散させない。この議論を立て直すべきだ」と反論。共産、れいわ新選組も反対した。公明党の西田実仁参院会長は、「非核三原則は堅持すべきだ。核のない世界を目指すのは日本の変わらぬ立場であり続けるべきだ」と述べ、否定的な考えを示した。国民民主党の川合孝典参院国対委員長は「核共有は現実的ではない」と指摘した。
【自民、核共有「議論の必要ある」 維新同調、立・共は反対:時事ドットコム (jiji.com)】

⑦ 立憲民主党
・「防衛費増」揺れる立憲 泉代表に内部から異論(2022年5月25日、毎日新聞の記事)
~岸田文雄首相が5月23日の日米首脳会談で「防衛費の相当な増額」を行う方針を示したことに、野党第1党・立憲民主党が揺れている。泉健太代表は5月24日、「昨今の安保環境で言えば(防衛費は)増えることになる」と首相の方針に理解を示し、参院選の争点にならないとの見解まで示したが、党内では「選挙を間近に控えて政府・与党との違いを鮮明にすべき時なのに何をしているのか」(党ベテラン)との異論もくすぶる。一方、日本維新の会や国民民主党は積極的に防衛費増額に賛成していく方針だ。
【「防衛費増」揺れる立憲 泉代表に内部から異論 | 毎日新聞 (mainichi.jp)】

⑧ 日本共産党
・共産 志位委員長 “自衛隊活用“方針 参院選で理解求める考え(2022年4月10日、NHK)
~自衛隊について共産党の志位委員長は、当面存在を認め、日本が侵略された場合には自衛隊も活用するとした党の方針を強調し、夏の参議院選挙で国民に理解を求めていく考えを示しました。共産党の志位委員長は東京都内で演説し、党の綱領で「解消に向かって前進をはかる」としている自衛隊について「一足飛びに自衛隊を無くすことはできない。憲法9条の理想に向け、国民多数の合意で一歩一歩、自衛隊の現実を改革していくのが党の立場だ」と説明しました。そのうえで「自衛隊とかなりの期間共存していくことになる。その間、日本が侵略された場合は、自衛隊も含めあらゆる手段を用いて国民の命と国家の主権を守るために頑張り抜く」と強調しました。
【共産 志位委員長 “自衛隊活用“方針 参院選で理解求める考え | NHK | 参院選】


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【以下、参考資料】

《侵攻直前のプーチンのテレビ演説(集団虐殺などの被害妄想と露骨な領土拡大の戦争目的)》
〈親露派住民のジェノサイドから守る〉
「プーチン大統領は2022年2月24日、攻撃に先立ち国営メディアで放送されたテレビ演説で、ウクライナ東部で親露派住民が『ジェノサイド(集団虐殺)』を受けていると主張し、『人々を守るため』として軍事作戦(「特別な軍事作戦」)を正当化した」(毎日2022年2月25日付)
〈隣接する土地(ウクライナなど)はロシアの歴史的領土だから〉
「問題なのは、私たちと隣接する土地に、言っておくが、それは私たちの歴史的領土だ、そこに、私たちに敵対的な『反ロシア』が作られようとしていることだ。それは、完全に外からのコントロール下に置かれ、NATO諸国の軍によって強化され、最新の武器が次々と供給されている」→(参考)2022年2月24日のプーチンのテレビ演説全文はNHKホームページ(同年3月4日配信、最下段に掲載)
【https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220304/k10013513641000.html】

《プーチンの核使用脅迫発言》
★ロシア・プーチンの核兵器使用の示唆→2022年2月24日
~ロシアのプーチン大統領は2月24日のテレビ演説で、「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」と欧米に警告した。プーチン氏は「ソ連崩壊で多くのものを失ったが、現代のロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」というだけでなく、「最新兵器でも優位性がある」と強調。「我が国を攻撃すれば、壊滅し、悲惨な結果になることに疑いない」と主張した。
【プーチン氏「ロシアは強力な核保有国」 「最新兵器でも優位」と強調 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)】

《プーチンのピョートル大帝論》
★プーチン氏、自身をピョートル大帝になぞらえる ウクライナ侵攻は正当と示唆(2022年6月9日、CNN)
【CNN.co.jp : プーチン氏、自身をピョートル大帝になぞらえる ウクライナ侵攻は正当と示唆】
「(CNN) ロシアのプーチン大統領は6月9日、17世紀後半から18世紀にかけてのロシアの君主ピョートル大帝に自らを重ね合わせ、ウクライナ侵攻を正当化する姿勢を見せた。プーチン氏はこの日、初代ロシア皇帝のピョートル大帝を扱った展覧会を訪問。ピョートル大帝による18世紀のスウェーデンとの戦争を現在のウクライナ軍事侵攻になぞらえようと試みた。プーチン氏は発言の中で、ピョートル大帝は征服を試みたわけではなく、ロシアに正当に帰属する領土を巡って戦っていたとの見方を示した。そのうえで今日のウクライナ戦争との類似点を指摘し、ウクライナは正統な主権国家ではなく、実際はロシア領なのだから最近の軍事行動は正当化されると示唆した」

《現実離れの支離滅裂なプーチンの戦争目的論》
★ロシアのプーチン大統領の演説→2022年5月9日の対独戦勝記念式典で
〈その特徴点〉
① 侵略・侵攻を祖国防衛と強弁する倒錯
② 国連憲章違反の先制攻撃を正当化
③ ウクライナをナチスと呼ぶ時代錯誤な民族差別
④ ウライナの一部をロシア領土と強弁する詭弁
⑤ 米国・NATO・西側諸国を問答無用の主敵とする被害妄想
〈内容要旨〉
「祖国の防衛は、常に神聖なものだった。…今もあなた方は(ウクライナ東部親ロ派の)ドンバスの人々や祖国のために戦っている。…昨年末、条約を結ぶことを提案した。ロシアは西側諸国に誠実な対話や、合理的で妥協的な解決の模索を呼びかけたが、全て無駄だった。北大西洋条約機構(NATO)諸国は私たちの話を聞こうとしなかった。…ドンバスでの作戦や、クリミア半島を含む私たちの領土征服に向けた準備が公然と進んだ。ウクライナ政権は、核兵器の獲得がありうると宣言した。私たちにとっては絶対に受け入れられない脅威が国境沿いに作られた。ネオナチとの衝突は避けられなかった。NATOは最新兵器を定期的に提供し、危険は日増しに高まった。攻撃はやむを得なかった。時宜を得た、唯一の正しい決定だった。…今、ドンバスの戦士はロシア軍と共に自らの土地で戦っている。あなた方は祖国とその将来のために戦っている。誰も第二次大戦の教訓を忘れないように。世界にナチスのための居場所はない。…」(毎日2022年5月10日付「プーチン大統領演説・要旨」)

《「侵略」の定義について》
★伊藤和子「『侵略の定義はない』は事実でない。2010年に日本も参加して『侵略』に関する国際合意が成立している」(弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長2013年5月20日WEB論文)
【「侵略の定義はない」は事実でない。2010年に日本も参加して「侵略」に関する国際合意が成立している。(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース】

侵略の定義に関する決議(国連総会決議3314。1974年12月14日、第29回総会で採択)
第1条(侵略の定義)
侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する、又は国際連合の憲章と両立しないその他の方法による武力の行使であって、この定義に述べられているものをいう。
第2条(武力の最初の使用)
国家による国際連合憲章に違反する武力の最初の使用は、侵略行為の一応の証拠を構成する。ただし、安全保障理事会は、国際連合憲章に従い、侵略行為が行われたとの決定が他の関連状況(当該行為又はその結果が十分な重大性を有するものではないという事実を含む。)に照らして正当に評価されないとの結論を下すことができる。
第3条(侵略行為)
次に掲げる行為は、いずれも宣戦布告の有無に関わりなく、2条の規定に従うことを条件として、侵略行為とされる。
(a) 一国の軍隊による他国の領域に対する侵入若しくは、攻撃、一時的なものであってもかかる侵入若しくは攻撃の結果もたらせられる軍事占領、又は武力の行使による他国の全部若しくは一部の併合
(b) 一国の軍隊による他国の領域に対する砲爆撃、又は一国による他国の領域に対する兵器の使用
(c) 一国の軍隊による他国の港又は沿岸の封鎖
(d) 一国の軍隊による他国の陸軍、海軍若しくは空軍又は船隊若しくは航空隊に関する攻撃
(e) 受入国との合意にもとづきその国の領域内にある軍隊の当該合意において定められている条件に反する使用、又は、当該合意の終了後のかかる領域内における当該軍隊の駐留の継続
(f) 他国の使用に供した領域を、当該他国が第三国に対する侵略行為を行うために使用することを許容する国家の行為
(g) 上記の諸行為に相当する重大性を有する武力行為を他国に対して実行する武装した集団、団体、不正規兵又は傭兵の国家による若しくは国家のための派遣、又はかかる行為に対する国家の実質的関与

2010年に議論された国際刑事裁判所「規程」(この会議では、侵略か否かを決するにあたって、安保理の認定は不要であることも確認された)
1. この規程の適用上、「侵略犯罪」とは、国の政治的または軍事的行動を、実質的に管理を行うかまたは指示する地位にある者による、その性質、重大性および規模により、国際連合憲章の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行をいう。
2. 第1項の適用上、「侵略の行為」とは、他国の主権、領土保全または政治的独立に対する一国による武力の行使、または国際連合憲章と両立しない他のいかなる方法によるものをいう。以下のいかなる行為も、宣戦布告に関わりなく、1974年12月14日の国際連合総会決議3314(XXIX)に一致して、侵略の行為とみなすものとする。
a. 一国の軍隊による他国領域への侵入または攻撃、若しくは一時的なものであってもかかる侵入または攻撃の結果として生じる軍事占領、または武力の行使による他国領域の全部若しくは一部の併合
b. 一国の軍隊による他国領域への砲爆撃または国による他国領域への武器の使用
c. 一国の軍隊による他国の港または沿岸の封鎖
d. 一国の軍隊による他国の陸軍、海軍または空軍若しくは海兵隊または航空隊への攻撃
e. 受け入れ国との合意で他国の領域内にある一国の軍隊の、当該合意に規定されている条件に反した使用、または当該合意の終了後のかかる領域における当該軍隊の駐留の延長
f. 他国の裁量の下におかれた領域を、その他国が第三国への侵略行為の準備のために使用することを許す国の行為
g. 他国に対する上記載行為に相当する重大な武力行為を実行する武装した集団、団体、不正規兵または傭兵の国による若しくは国のための派遣、またはその点に関する国の実質的関与

《国連憲章の該当条文》
第1条
国際連合の目的は、次のとおりである。
1. 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
…………………………
第2条
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。
この機構は、国際連合加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。
この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基く解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7章に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
…………………………
第6章 紛争の平和的解決
第33条
1. いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。

…………………………
第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動
…………………………
第41条
安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。
第42条
安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
…………………………
第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。


《国連総会の決議》(ウイキソースの翻訳)
国際連合総会決議ES-11/1 2022年3⽉2⽇(賛成141、反対5、棄権35で採択)
……………………
1. ウクライナの主権、独⽴、統⼀及び領⼟保全に対するコミットメントを、その領海に及ぶ国際的に認められた国境内において再確認する。
2. 憲章第2条 (4)に違反するロシア連邦によるウクライナへの侵略を最も強い⾔葉で遺憾の意を表明する。
3. ロシア連邦に対して、ウクライナに対する武⼒⾏使を直ちに停⽌し、いかなる加盟国に対してもこれ以上の不法な武⼒による威嚇または⾏使を⾏わないよう要求する。
4. また、ロシア連邦が国際的に承認された国境のウクライナ領内から、直ちに完全かつ無条件に全ての軍を撤退させることを要求する。
5. ウクライナのドネツク州及びルハンスク州の特定地域の地位に関するロシア連邦の2022年2⽉21⽇の決定は、ウクライナの領⼟保全と主権の侵害であり、憲章の原則と⽭盾しており、遺憾の意を表明する。
6. ロシア連邦に対し、ウクライナのドネツク州及びルハンスク州の特定地域の地位に関する決定を即時かつ無条件で撤回することを要求する。
……………………

国際連合総会決議ES-11/2 2022年3⽉24⽇(賛成140、反対5、棄権38で採択)
……………………
「ウクライナに対する侵略がもたらした⼈道的結果」
……………………
1. 「ウクライナに対する侵略」と題された2022年3⽉2⽇の決議ES-11/1を完全に履⾏することの必要性を改めて表明する。
2. ロシア連邦によるウクライナに対する敵対⾏為、特に⺠間⼈及び⺠間の物品に対するあらゆる攻撃の即時停⽌を要求する。
3. また、⼈道⽀援要員、ジャーナリスト、⼥性や⼦供を含む脆弱な状況にある⼈を含む⺠間⼈が完全に保護されることを要求する。
4. さらに、医療業務に専従する全ての医療関係者及び⼈道⽀援要員、その輸送⼿段及び装備並びに病院及びその他の医療施設に対する⼗分な尊重と保護を要求する。
5. 武⼒紛争下において、⺠間⼈の⽣存に不可⽋な物品及び不可⽋なサービスの提供に⽋かせない⺠間インフラを完全に尊重し、保護することを要求する。
6. また、全ての締結国に対し、武⼒紛争や暴⼒から逃れた外国⼈、特に学⽣を含む⺠間⼈を差別することなく保護し、⾃発的で安全かつ妨げられない通⾏を可能とすることを要求する。
7. さらに当事者は、ウクライナ及びその近隣諸国で困窮している⼈々に対して、⼈道的要員並びにその輸送⼿段、物資及び設備の安全かつ妨げられない⼈道的アクセスを確保する義務を遵守することを要求する。
8. ウクライナの都市、特にマリウポリ市の包囲は⺠間⼈の⼈道的状況を更に悪化させ、避難の努⼒を妨げていることを強調し、したがって、これらの包囲を終わらせることを要求する。


《自民党の改憲案》
 [参考]現行憲法の前文と9条
「(前文)日本国民は…政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」
「憲法第二章・戦争の放棄 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

 ★自民党の「日本国憲法改正草案」
「(前文)我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する」
「憲法第二章・安全保障 (平和主義)第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
(国防軍)第9条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
 2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
 4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は法律でこれを定める。
 5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所に上訴する権利は、保障されなければならない。
(領土の保全等)第9条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。」

「自民党の改憲案 四項目」
・「自民党は現在、改正の条文イメージとして、①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目を提示しています。」(現在の自民党のHP)
・自民党憲法改正推進本部「憲法改正に関する議論の状況について」(2018年3月26日)
「第9条の二 前項の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
②自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
(※第9条全体を維持した上で、その次に追加)」

《プーチンの2022年2月24日のテレビ演説(NHKホームページ)》
2月24日に突然、ロシアがウクライナを侵攻。その日、侵攻直前に、ロシアの国営テレビはプーチン大統領の国民向けの演説を放送しました。プーチン大統領は何を語ったのか?演説全文は次のとおりです。
【演説全文】
親愛なるロシア国民の皆さん、親愛なる友人の皆さん。
きょうは、ドンバス(=ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州)で起きている悲劇的な事態、そしてロシアの重要な安全保障問題に、改めて立ち返る必要があると思う。
まずことし2月21日の演説で話したことから始めたい。それは、私たちの特別な懸念や不安を呼び起こすもの、毎年着実に、西側諸国の無責任な政治家たちが我が国に対し、露骨に、無遠慮に作り出している、あの根源的な脅威のことだ。つまり、NATOの東方拡大、その軍備がロシア国境へ接近していることについてである。
この30年間、私たちが粘り強く忍耐強く、ヨーロッパにおける対等かつ不可分の安全保障の原則について、NATO主要諸国と合意を形成しようと試みてきたことは、広く知られている。
私たちからの提案に対して、私たちが常に直面してきたのは、冷笑的な欺まんと嘘、もしくは圧力や恐喝の試みだった。その間、NATOは、私たちのあらゆる抗議や懸念にもかかわらず、絶えず拡大している。軍事機構は動いている。繰り返すが、それはロシアの国境のすぐ近くまで迫っている。
なぜ、このようなことが起きているのか。自分が優位であり、絶対的に正しく、なんでもしたい放題できるという、その厚かましい態度はどこから来ているのか。私たちの国益や至極当然な要求に対する、無配慮かつ軽蔑的な態度はどこから来ているのか。答えは明白。すべては簡単で明瞭だ。
1980年代末、ソビエト連邦は弱体化し、その後、完全に崩壊した。当時起きたことの一連の流れは、今でも私たちにとってよい教訓となっている。それは、権力や意志のまひというものが、完全なる退廃と忘却への第一歩であるということをはっきりと示した。当時、私たちはしばらく自信を喪失し、あっという間に世界のパワーバランスが崩れたのだ。これにより、従来の条約や協定には、事実上、効力がないという事態になった。説得や懇願ではどうにもならない。覇権、権力者が気に入らないことは、古風で、時代遅れで、必要ないと言われる。それと反対に、彼らが有益だと思うことはすべて、最後の審判の真実かのように持ち上げられ、どんな代償を払ってでも、粗暴に、あらゆる手を使って押しつけてくる。賛同しない者は、ひざを折られる。私が今話しているのは、ロシアに限ったことではないし、懸念を感じているのは私たちだけではない。これは国際関係のシステム全体、時にアメリカの同盟諸国にまでも関わってくるものだ。
ソビエト連邦の崩壊後、事実上の世界の再分割が始まり、これまで培われてきた国際法の規範が、そのうち最も重要で基本的なものは、第二次世界大戦の結果採択され、その結果を定着させてきたものであるが、それが、みずからを冷戦の勝者であると宣言した者たちにとって邪魔になるようになってきた。もちろん、実務において、国際関係において、また、それを規定するルールにおいては、世界情勢やパワーバランスそのものの変化も考慮しなければならなかった。しかしそれは、プロフェッショナルに、よどみなく、忍耐強く、そしてすべての国の国益を考慮し、尊重し、みずからの責任を理解したうえで実行すべきだった。しかしそうはいかなかった。あったのは絶対的な優位性と現代版専制主義からくる陶酔状態であり、さらに、一般教養のレベルの低さや、自分にとってだけ有益な解決策を準備し、採択し、押しつけてきた者たちの高慢さが背景にあった。事態は違う方向へと展開し始めた。
例を挙げるのに遠くさかのぼる必要はない。まず、国連安保理の承認なしに、ベオグラードに対する流血の軍事作戦を行い、ヨーロッパの中心で戦闘機やミサイルを使った。数週間にわたり、民間の都市や生活インフラを、絶え間なく爆撃した。この事実を思い起こさなければならない。というのも、西側には、あの出来事を思い出したがらない者たちがいるからだ。私たちがこのことに言及すると、彼らは国際法の規範について指摘するのではなく、そのような必要性があると思われる状況だったのだと指摘したがる。
その後、イラク、リビア、シリアの番が回ってきた。リビアに対して軍事力を不法に使い、リビア問題に関する国連安保理のあらゆる決定を曲解した結果、国家は完全に崩壊し、国際テロリズムの巨大な温床が生まれ、国は人道的大惨事にみまわれ、いまだに止まらない長年にわたる内戦の沼にはまっていった。リビアだけでなく、この地域全体の数十万人、数百万人もの人々が陥った悲劇は、北アフリカや中東からヨーロッパへ難民の大規模流出を引き起こした。
シリアにもまた、同じような運命が用意されていた。シリア政府の同意と国連安保理の承認が無いまま、この国で西側の連合が行った軍事活動は、侵略、介入にほかならない。
ただ、中でも特別なのは、もちろん、これもまた何の法的根拠もなく行われたイラク侵攻だ。
その口実とされたのは、イラクに大量破壊兵器が存在するという信頼性の高い情報をアメリカが持っているとされていることだった。それを公の場で証明するために、アメリカの国務長官が、全世界を前にして、白い粉が入った試験管を振って見せ、これこそがイラクで開発されている化学兵器だと断言した。後になって、それはすべて、デマであり、はったりであることが判明した。イラクに化学兵器など存在しなかったのだ。
信じがたい驚くべきことだが、事実は事実だ。国家の最上層で、国連の壇上からも、うそをついたのだ。その結果、大きな犠牲、破壊がもたらされ、テロリズムが一気に広がった。世界の多くの地域で、西側が自分の秩序を打ち立てようとやってきたところでは、ほとんどどこでも、結果として、流血の癒えない傷と、国際テロリズムと過激主義の温床が残されたという印象がある。私が話したことはすべて、最もひどい例のいくつかであり、国際法を軽視した例はこのかぎりではない。
NATOが1インチも東に拡大しないと我が国に約束したこともそうだ。繰り返すが、だまされたのだ。俗に言う「見捨てられた」ということだ。確かに、政治とは汚れたものだとよく言われる。
そうかもしれないが、ここまでではない。ここまで汚くはない。これだけのいかさま行為は、国際関係の原則に反するだけでなく、何よりもまず、一般的に認められている道徳と倫理の規範に反するものだ。正義と真実はどこにあるのだ?あるのはうそと偽善だけだ。ちなみに、アメリカの政治家、政治学者、ジャーナリストたち自身、ここ数年で、アメリカ国内で真の「うその帝国」ができあがっていると伝え、語っている。これに同意しないわけにはいかない。まさにそのとおりだ。しかし謙遜する必要はない。アメリカは依然として偉大な国であり、システムを作り出す大国だ。その衛星国はすべて、おとなしく従順に言うことを聞き、どんなことにでも同調するだけではない。それどころか行動をまねし、提示されたルールを熱狂的に受け入れてもいる。だから、アメリカが自分のイメージどおりに形成した、いわゆる西側陣営全体が、まさに「うその帝国」であると、確信を持って言えるのには、それなりの理由があるのだ。我が国について言えば、ソビエト連邦崩壊後、新生ロシアが先例のないほど胸襟を開き、アメリカや他の西側諸国と誠実に向き合う用意があることを示したにもかかわらず、事実上一方的に軍縮を進めるという条件のもと、彼らは我々を最後の一滴まで搾り切り、とどめを刺し、完全に壊滅させようとした。まさに90年代、2000年代初頭がそうで、いわゆる集団的西側諸国が最も積極的に、ロシア南部の分離主義者や傭兵集団を支援していた時だ。当時、最終的にコーカサス地方の国際テロリズムを断ち切るまでの間に、私たちはどれだけの犠牲を払い、どれだけの損失を被ったことか。どれだけの試練を乗り越えなければならなかったか。私たちはそれを覚えているし、決して忘れはしない。
実際のところ、つい最近まで、私たちを自分の利益のために利用しようとする試み、私たちの伝的な価値観を破壊しようとする試み、私たちロシア国民を内側からむしばむであろう偽りの価値観や、すでに彼らが自分たち側の国々に乱暴に植え付けている志向を私たちに押しつけようとする試みが続いていた。それは、人間の本性そのものに反するゆえ、退廃と退化に直接つながるものだ。こんなことはありえないし、これまで誰も上手くいった試しがない。そして今も、成功しないだろう。
色々あったものの、2021年12月、私たちは、改めて、アメリカやその同盟諸国と、ヨーロッパの安全保障の原則とNATO不拡大について合意を成立させようと試みた。すべては無駄だった。アメリカの立場は変わらない。彼らは、ロシアにとって極めて重要なこの問題について私たちと合意する必要があるとは考えていない。自国の目標を追い求め、私たちの国益を無視している。そしてもちろん、こうした状況下では、私たちは疑問を抱くことになる。「今後どうするべきか。何が起きるだろうか」と。私たちは、1940年から1941年初頭にかけて、ソビエト連邦がなんとか戦争を止めようとしていたこと、少なくとも戦争が始まるのを遅らせようとしていたことを歴史的によく知っている。そのために、文字どおりギリギリまで潜在的な侵略者を挑発しないよう努め、避けられない攻撃を撃退するための準備に必要な、最も必須で明白な行動を実行に移さない、あるいは先延ばしにした。最後の最後で講じた措置は、すでに壊滅的なまでに時宜を逸したものだった。
その結果、1941年6月22日、宣戦布告なしに我が国を攻撃したナチス・ドイツの侵攻に、十分対応する準備ができていなかった。敵をくい止め、その後潰すことはできたが、その代償はとてつもなく大きかった。大祖国戦争を前に、侵略者に取り入ろうとしたことは、国民に大きな犠牲を強いる過ちであった。最初の数か月の戦闘で、私たちは、戦略的に重要な広大な領土と数百万人の人々を失った。私たちは同じ失敗を2度は繰り返さないし、その権利もない。
世界覇権を求める者たちは、公然と、平然と、そしてここを強調したいのだが、何の根拠もなく、私たちロシアを敵国と呼ぶ。確かに彼らは現在、金融、科学技術、軍事において大きな力を有している。それを私たちは知っているし、経済分野において常に私たちに対して向けられている脅威を客観的に評価している。そしてまた、こうした厚かましい恒久的な恐喝に対抗する自国の力についても。繰り返すが、私たちはそうしたことを、幻想を抱くことなく、極めて現実的に見ている。
軍事分野に関しては、現代のロシアは、ソビエトが崩壊し、その国力の大半を失った後の今でも、世界で最大の核保有国の1つだ。そしてさらに、最新鋭兵器においても一定の優位性を有している。この点で、我が国への直接攻撃は、どんな潜在的な侵略者に対しても、壊滅と悲惨な結果をもたらすであろうことに、疑いの余地はない。また、防衛技術などのテクノロジーは急速に変化している。この分野における主導権は、今もこれからも、目まぐるしく変わっていくだろう。
しかし、私たちの国境に隣接する地域での軍事開発を許すならば、それは何十年も先まで、もしかしたら永遠に続くことになるかもしれないし、ロシアにとって増大し続ける、絶対に受け入れられない脅威を作り出すことになるだろう
すでに今、NATOが東に拡大するにつれ、我が国にとって状況は年を追うごとにどんどん悪化し、危険になってきている。しかも、ここ数日、NATOの指導部は、みずからの軍備のロシア国境への接近を加速させ促進する必要があると明言している。言いかえれば、彼らは強硬化している。起きていることをただ傍観し続けることは、私たちにはもはやできない。私たちからすれば、それは全く無責任な話だ。NATOが軍備をさらに拡大し、ウクライナの領土を軍事的に開発し始めることは、私たちにとって受け入れがたいことだ
もちろん、問題はNATOの組織自体にあるのではない。それはアメリカの対外政策の道具にすぎない。問題なのは、私たちと隣接する土地に、言っておくが、それは私たちの歴史的領土だ、そこに、私たちに敵対的な「反ロシア」が作られようとしていることだそれは、完全に外からのコントロール下に置かれ、NATO諸国の軍によって強化され、最新の武器が次々と供給されている。アメリカとその同盟諸国にとって、これはいわゆるロシア封じ込め政策であり、明らかな地政学的配当だ。一方、我が国にとっては、それは結局のところ、生死を分ける問題であり、民族としての歴史的な未来に関わる問題である。誇張しているわけではなく、実際そうなのだ。これは、私たちの国益に対してだけでなく、我が国家の存在、主権そのものに対する現実の脅威だ。それこそ、何度も言ってきた、レッドラインなのだ。彼らはそれを超えた。
そんな中、ドンバスの情勢がある。2014年にウクライナでクーデターを起こした勢力が権力を乗っ取り、お飾りの選挙手続きによってそれを(訳注:権力を)維持し、紛争の平和的解決を完全に拒否したのを、私たちは目にした。8年間、終わりの見えない長い8年もの間、私たちは、事態が平和的・政治的手段によって解決されるよう、あらゆる手を尽くしてきた。すべては徒労に帰した。先の演説でもすでに述べたように、現地で起きていることを同情の念なくして見ることはできない。今やもう、そんなことは到底無理だ。この悪夢を、ロシアしか頼る先がなく、私たちにしか希望を託すことのできない数百万人の住民に対するジェノサイド、これを直ちに止める必要があったのだ。まさに人々のそうした願望、感情、痛みが、ドンバスの人民共和国を承認する決定を下す主要な動機となった
さらに強調しておくべきことがある。NATO主要諸国は、みずからの目的を達成するために、ウクライナの極右民族主義者やネオナチをあらゆる面で支援している。彼らは(訳注:民族主義者ら)、クリミアとセバストポリの住民が、自由な選択としてロシアとの再統合を選んだことを決して許さないだろう。当然、彼らはクリミアに潜り込むだろう。それこそドンバスと同じように。戦争を仕掛け、殺すために。大祖国戦争の際、ヒトラーの片棒を担いだウクライナ民族主義一味の虐殺者たちが、無防備な人々を殺したのと同じように。彼らは公然と、ロシアの他の数々の領土も狙っていると言っている。全体的な状況の流れや、入ってくる情報の分析の結果が示しているのは、ロシアとこうした勢力との衝突が不可避だということだ。それはもう時間の問題だ。彼らは準備を整え、タイミングをうかがっている。今やさらに、核兵器保有までも求めている。そんなことは絶対に許さない。前にも述べたとおり、ロシアは、ソビエト連邦の崩壊後、新たな地政学的現実を受け入れた。私たちは、旧ソビエトの空間に新たに誕生したすべての国々を尊重しているし、また今後もそのようにふるまうだろう。それらの(訳注:旧ソビエト諸国の)主権を尊重しているし、今後も尊重していく。その例として挙げられるのが、悲劇的な事態、国家としての一体性への挑戦に直面したカザフスタンに対して、私たちが行った支援だ。
しかしロシアは、今のウクライナから常に脅威が発せられる中では、安全だと感じることはできないし、発展することも、存在することもできない。2000年から2005年にかけ、私たちは、コーカサス地方のテロリストたちに反撃を加え、自国の一体性を守り抜き、ロシアを守ったことを思い出してほしい。2014年には、クリミアとセバストポリの住民を支援した。2015年、シリアからロシアにテロリストが入り込んでくるのを確実に防ぐため、軍を使った。それ以外、私たちにはみずからを守るすべがなかった。今もそれと同じことが起こっている。きょう、これから使わざるをえない方法の他に、ロシアを、そしてロシアの人々を守る方法は、私たちには1つも残されていない。この状況下では、断固とした素早い行動が求められている。ドンバスの人民共和国はロシアに助けを求めてきた。これを受け、国連憲章第7章51条と、ロシア安全保障会議の承認に基づき、また、本年2月22日に連邦議会が批准した、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国との友好および協力に関する条約を履行するため、特別な軍事作戦を実施する決定を下した。その目的は、8年間、ウクライナ政府によって虐げられ、ジェノサイドにさらされてきた人々を保護することだ。そしてそのために、私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指していく。また、ロシア国民を含む民間人に対し、数多くの血生臭い犯罪を犯してきた者たちを裁判にかけるつもりだ。ただ、私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない。私たちは誰のことも力で押さえつけるつもりはない。
同時に、ソビエトの全体主義政権が署名した文書は、それは第二次世界大戦の結果を明記したものだが、もはや履行すべきではないという声を、最近、西側諸国から聞くことが多くなっている。
さて、それにどう答えるべきだろうか。第二次世界大戦の結果は、ナチズムに対する勝利の祭壇に、我が国民が捧げた犠牲と同じように、神聖なものだ。しかしそれは、戦後数十年の現実に基づいた、人権と自由という崇高な価値観と矛盾するものではない。また、国連憲章第1条に明記されている民族自決の権利を取り消すものでもない。ソビエト連邦が誕生した時も、第二次世界大戦後も、今のウクライナの領土に住んでいた人々に、どのような生活を送っていきたいかと聞いた人など1人もいなかったことを思い出してほしい。私たちの政治の根底にあるのは、自由、つまり、誰もが自分と自分の子どもたちの未来を自分で決めることのできる選択の自由だ。そして、今のウクライナの領土に住むすべての人々、希望するすべての人々が、この権利、つまり、選択の権利を行使できるようにすることが重要であると私たちは考えている。
これに関し、ウクライナの人々にも言いたい。2014年、ロシアは、あなた方自身が「ナチス」と呼ぶ者たちから、クリミアとセバストポリの住民を守らなければならなかった。クリミアとセバストポリの住民は、自分たちの歴史的な祖国であるロシアと一緒になることを、自分たちで選択した。そして私たちはそれを支持した。繰り返すが、そのほかに道はなかった。
現在起きていることは、ウクライナ国家やウクライナ人の利益を侵害したいという思いによるものではない。それは、ウクライナを人質にとり、我が国と我が国民に対し利用しようとしている者たちから、ロシア自身を守るためなのだ。繰り返すが、私たちの行動は、我々に対して作り上げられた脅威、今起きていることよりも大きな災難に対する、自己防衛である。どんなにつらくとも、これだけは分かってほしい。そして協力を呼びかけたい。できるだけ早くこの悲劇のページをめくり、一緒に前へ進むために。私たちの問題、私たちの関係を誰にも干渉させることなく、自分たちで作り上げ、それによって、あらゆる問題を克服するために必要な条件を生み出し、国境が存在するとしても、私たちが1つとなって内側から強くなれるように。私は、まさにそれが私たちの未来であると信じている。
ウクライナ軍の軍人たちにも呼びかけなければならない。親愛なる同志の皆さん。あなたたちの父、祖父、曽祖父は、今のネオナチがウクライナで権力を掌握するためにナチと戦ったのではないし、私たち共通の祖国を守ったのでもない。あなた方が忠誠を誓ったのは、ウクライナ国民に対してであり、ウクライナを略奪し国民を虐げている反人民的な集団に対してではない。その(訳注:反人民的な政権の)犯罪的な命令に従わないでください。直ちに武器を置き、家に帰るよう、あなた方に呼びかける。はっきりさせておく。この要求に応じるウクライナ軍の軍人はすべて、支障なく戦場を離れ、家族の元へ帰ることができる
もう一度、重ねて強調しておく。起こりうる流血のすべての責任は、全面的に、完全に、ウクライナの領土を統治する政権の良心にかかっている
さて、今起きている事態に外から干渉したい思いに駆られているかもしれない者たちに対し、言っておきたい大変重要なことがある。私たちに干渉しようとする者は誰でも、ましてや我が国と国民に対して脅威を作り出そうとする者は、知っておくべきだ。ロシアは直ちに対応し、あなた方を、歴史上直面したことのないような事態に陥らせるだろうということを。私たちは、あらゆる事態の展開に対する準備ができている。そのために必要な決定はすべて下されている。私のことばが届くことを願う。
親愛なるロシア国民の皆さん。国家や国民全体の幸福、存在そのもの、その成功と存続は、常に、文化、価値観、祖先の功績と伝統といった強力で根幹的なシステムを起源とするものだ。そしてもちろん、絶えず変化する生活環境に素早く順応する能力や、社会の団結力、前へ進むために力を1つに集結する用意ができているかどうかに直接依存するものだ。力は常に必要だ。どんな時も。しかし力と言っても色々な性質のものがある。冒頭で述べた「うその帝国」の政治の根底にあるのは、何よりもまず、強引で直接的な力だ。そんな時、ロシアではこう言う。「力があるなら知性は必要ない」と。私たちは皆、真の力とは、私たちの側にある正義と真実にこそあるのだということを知っている。もしそうだとしたら、まさに力および戦う意欲こそが独立と主権の基礎であり、その上にこそ私たちの未来、私たちの家、家族、祖国をしっかりと作り上げていくことができる。このことに同意しないわけにはいかない。
親愛なる同胞の皆さん。自国に献身的なロシア軍の兵士および士官は、プロフェッショナルに勇敢にみずからの義務を果たすだろうと確信している。あらゆるレベルの政府、経済や金融システムや社会分野の安定に携わる専門家、企業のトップ、ロシア財界全体が、足並みをそろえ効果的に動くであろうことに疑いの念はない。すべての議会政党、社会勢力が団結し愛国的な立場をとることを期待する。結局のところ、歴史上常にそうであったように、ロシアの運命は、多民族からなる我が国民の信頼できる手に委ねられている。それはつまり、下された決定が実行され、設定された目標が達成され、我が祖国の安全がしっかりと保証されるということだ。
あなたたちからの支持と、祖国愛がもたらす無敵の力を信じている


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