(2016年7月17日からカウント)
◎FTA・TPP国際フォーラムでの経済ジャーナリスト・今田真人の発言全文(ICレコーダーの録音から)
関税撤廃をするFTA・TPPにですね、反対するというのは、私も同意見で、おおいに絶対阻止しなければならないという決意を、きょうも固めたんですけど。
で、あのう、なぜ、関税撤廃をするとですね、例えば日本の場合ですね、安い農産物が入ってくるのかというところの研究がまだ、されていないと思うんですよね。
これは私は、その外国為替の問題があると思うんです。
関税撤廃をすれば、なぜ、日本に安い農産物が入ってくるのか、と。ほかのタイとか、インドネシアの方たちは、はたして、そこらへんは同じなのかどうかですね。やはり、日本の特殊的な事情だと思うんですよね。
その安い外国の農産物、中国の農産物がいま日本にたくさん入ってきてますけど、これはなぜなのかということを、ちゃんと分析したうえでですね、TPP、FTA断固阻止ということを、運動を考えていかなければならないんじゃないかと、思っているんです。
で、これはね、やはり、為替レートと購買力平価の乖離という、まあちょっと難しい言い方なんですけど、通貨が等価交換、同じ価値で交換されていないという問題があると思うんです。
いま、ドルが基軸通貨ですから、中国で農産物を買い付けてですね、日本に輸入する場合、円の資金をまずドルに替えて、ドルの資金を人民元に替えるわけですよね。
その人民元を持って中国の農村で大量の食料を買うわけです。その買うときにけっして、たたいて買っているわけではないんですね。
非常に高い値段で、中国から日本の商社は買っているわけですよ。それを日本に輸入すると、まあ、おコメの場合、日本の普通の10キロ3000円がですね、中国のコメ、同じような品質のものが、10キロ300円で入ってくるわけですよね。
これはもう、お分かりだと思うんです。
それは、超円高といわれているいまの1ドル=70円台、60円台とかですよね、そういうときの場合じゃなくて、1ドル=100円とか、90円とか、そういう段階で、そういう格差があるわけですよね。
もういまの1ドル=70円なんていったら、とんでもなく安い農産物が入ってきているわけですよね。
それをやはり、関税だけでは阻止できないんですよね。
だから、いまの関税を守るということは、もちろん大切なんだけど、それ以上にね、この為替レートが不等価交換(になっていることを是正しなければならない)。
まあ、たとえて言えば、1000円札と100円玉を替えるときにですね、普通の等価交換なら、1000円札を出すと、100円玉10個と交換してくれるんですけど、1000円札は紙であると、100円玉はコインだと、いうことで、コインの方が価値が高いだろうということで、もし、1000円札を出して、100円玉5個しか受け取られなかったら、怒りますでしょう。
それと同じことが、いま、通貨の間で行われているということなんで。
まあ、ここですぐ言って、運動のスローガンになるとは思わないんですけど。やはりこの、為替レート・市場レートとですね、購買力平価・通貨の価値の違い、それが非常に不等価で、中国の人民元でいえば、もう20倍、30倍の不等価交換が行われている。
これをやはり、なんとかしなければ、アジアの人たちとの連帯という意味でも、やはり違ってくると思うんですね。問題が出てくると思うんです。
だから、日本の農業・農民は単に関税が低くて安い農産物が入ってくるというだけじゃなくて、この為替の問題で、二重の苦しみを負わされているというふうに私は思っておりまして。
そこはぜひ、日本の特殊な事情かもしれませんけど、日本の農民とか国民が、いまの食料自給率の低下という流れを食い止めるには、この問題、研究しなくてはならないと思うんですよね。
だから、これもぜひ、視野に置いていただいて、たたかいを進めていただけないか、ということを申し上げたかったということです。
それだけです。(会場の何人かの参加者から拍手あり)