◎「原発推進派のトリック見抜く運動を」 原発問題センターの野村さんが講演 第2回・原発問題連続学習会 東京・国立市


 原発問題住民運動全国連絡センター事務局次長の野村存生(よしお)さんが11日、東京都国立市内の一橋大学の教室で、「福島原発事故が明らかにしたもの――チェルノブイリ原発事故の現地調査も踏まえて」をテーマに講演しました。同市内の市民団体で構成する実行委員会(代表は横浜国立大学名誉教授の本間要一郎さん)が、10月30日の1回目から開催している原発問題連続学習会の2回目。約70人が参加しました。
 野村さんは、みずから参加した2006年のチェルノブイリ原発事故現地調査に触れ、ベラルーシ共和国政府による、徹底した放射能汚染データの収集と公表システムを紹介。「それに比べると、日本はどうなのでしょうか」と問題提起し、放射線予測装置スピーディーの情報の公表が大幅に遅れたことに象徴されるような、日本政府の情報隠しともいえる姿勢を厳しく批判しました。
 原発推進勢力が流布している「原発をゼロにすると電気が不足する」という宣伝についても、「これはトリックです」と強調。電力会社がわざわざ、原発の稼働率を65%に高め、火力発電の稼働率を46%に低く抑えて、原発依存度を30%にしていると指摘。火力発電の稼働率を75%に引き上げるだけで、日本全体の需要をすべて賄えるとし、「そういうカラクリをきちんとつかんで、そういうごまかしに負けない運動が必要と思います」と訴えました。
 また、チェルノブイリ原発事故(1986年に発生)の現地調査の写真をプロジェクターで上映。事故後20年を経過した現地調査時点でも、いまだに、放射能汚染が続き、住民が町ごと避難させられ、さまざまな病気に苦しんでいたことを報告。
 参加者から出された「チェルノブイリ原発事故では、何キロまでが強制移住なのか、その線引きはどうなっているのか」という質問にも答えて、チェルノブイリ原発の周辺はもともと、原発労働者が住んでいた町以外、森や高原など、人家がほとんどない広大な地域に囲まれていたことを指摘し、「原発のすぐ近くに人口が密集する日本とまったく違う。そんな国は、原発がある国でも他にあまりない」と日本の原発立地のあり方の異常さを告発しました。
 (経済ジャーナリスト・今田真人=2011年12月11日記)

  

  
 講演する野村存生さん(上)、熱心に聞く参加者(下)=12月11日、東京都国立市

 ☆学習会で配布された講演の資料(レジュメ)@AB
 ☆講師の野村存生さんと原発問題住民運動全国連絡センターの紹介
 ☆同上の連続学習会の講演の動画は、YouTubeで視聴できます。
  視聴したい方は、ここ(前半後半)をクリックしてください。
 ☆〈参考文献〉パンフレット『日本の「原発震災」への警鐘――「チェルノブイリ原発事故20年――ベラルーシ・ウクライナ現地の旅(2006年8月27日〜9月4日)」調査報告書』(2007年9月30日発行、原発問題住民運動全国連絡センター編集、領価1000円)=写真下



 ☆事前にホームページに掲載した、この学習会のお知らせ

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