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(2025年9月29日からの閲覧回数)


☆植民地差別と朝鮮人虐殺
(2025年8月11日~のツイート再録)
          フリージャーナリスト・今田真人



これは大スクープだと思う。終戦といわれる8月15日以後にも行われた日本人による朝鮮人虐殺。その根底にある当時の深い植民地差別を憂う。
同様に、私の研究テーマ、「慰安婦」強制連行も、当時の朝鮮人への強烈な差別の視点を抜きに、その暴力性は究明できないと思う。



【毎日新聞2025年8月11日付、東京朝刊】


「慰安婦」問題では、戦時中の家父長主義的な女性差別が強調される。しかし、それとともに当時の植民地支配による朝鮮人差別の視点がなければ、吉田清治氏が強調したような朝鮮人「慰安婦」強制連行の暴力性は見えてこない。朝日や「赤旗」の検証記事にその視点が欠落していることに改めて思い至る。


「慰安婦」強制連行は、日本人女性も朝鮮人女性も被害者である。その強制性は否定できない。だが、働いている工場に踏み込んだとか、結婚式場で新婦を連れ去ったとか、そういう暴力性は、吉田清治氏が証言したような朝鮮人強制連行にしかなかった。だから安倍晋三はその証言の否定に躍起となった。


「慰安所」での朝鮮人差別も広く確認できる。先日の国分寺市での「哲学カフェ」での私の報告でも、1968年の元従軍看護婦・江川きくさんの手記にもあるように、性被害のあり方で大きな差別があった。【私のHP掲載の《吉田証言と河野談話をめぐる年表参照》】


「将校用は日本人、兵隊用は朝鮮人、軍属用は台湾人」(江川きくさんの手記)。日本人「慰安婦」は将校用の「オンリー(おめかけさん)」で、その「慰安所」は立派な建物。朝鮮人「慰安婦」は圧倒的多数の兵隊用で、カーテンで仕切られただけの粗末な部屋。地獄の沙汰も民族差別が貫かれていた。


毎日新聞の記事に戻るが違和感も。ソ連のスパイとの容疑から「朝鮮人を殺せ」となり、複数の日本人が刀等を持って朝鮮人宅を襲撃。「床に寝ている子どもをキャベツを切るように切った」。しかし「命令には逆らえず」と見出しにあるが、日本人の子どもに同じことをするか。


私の、以下の一連のツイート(2025年7月28日~)も参考に。


私は2025年7月26日、東京・国分寺市の市民団体「哲学カフェ」で、「慰安婦」問題についての報告を行いました。以下の私のHPにレジュメなどを掲載しました。参考にしてください。
~「朝鮮人『慰安婦』強制連行は本当にあったのか――『慰安婦』問題を哲学的に考える」


ジャーナリストが行う「裏づけ」は特定情報が真実であることを確認する手法であり、必要不可欠。しかし「裏づけ証言がなければ、歴史事実は存在しない」というのは「裏づけ」を怠れば真実ではないことを証明したことにもなる。それは「歴史修正主義」であり、人間の認識を真実より優先する観念論だ。


特定の情報について「裏づけ」を取れるかどうかは、そのジャーナリストのやる気の問題でもある。「裏づけ」はまず真剣に探す努力が必要。そうした努力もしないで、裏づけ証言が見つからないから、済州島の「慰安婦狩り」はなかったと断定するのは、ジャーナリスト失格であり、「歴史修正主義」である。


唯物論は、歴史的事実があるから人間の認識があると考える。人間の認識があるから歴史的事実があるのではない。つまり「慰安婦」強制連行が歴史的事実であるから、加害証言や被害証言、目撃証言が発生するのである。この原因と結果を逆さに描く「歴史修正主義」は観念論であり、認識上の誤りである。


済州島での「慰安婦狩り」は、秦郁彦氏のずさんな現地調査で「裏づけ」証言がないこととされ、存在を否定された。しかし発見できなかったのは、秦氏のせいであり、他の研究者がいくつも発見している。いつまでも「吉田証言は信憑性がない」論を横行させてはならない。
【10件前後の証言と秦郁彦氏の「詐話」、済州島での「慰安婦」強制連行】


吉見義明氏についても、秦郁彦氏の済州島現地調査をいまだに肯定する以上、いまもまったく評価できない。
【以下、過去の参考ツイート(2019年9月20日~)】


最近読んだ本で残念なものがあった。山崎雅弘『歴史戦と思想戦』。一見、産経の歴史修正主義を批判する好著だが、次のくだりでがっかり。「『慰安婦の強制連行』に関する吉田清治の証言は、事実の裏付けのない『虚言』であることが判明」(P22~)。彼は私の本を一冊も読んだことがないようだ。


さらに、こんな記述も。「吉田証言の虚偽を指摘した歴史家の秦郁彦が著した『慰安婦と戦場の性』…によれば」云々と書き「大日本帝国下の日本軍が民間業者と契約して、各地の戦場後方に「慰安所」と呼ばれる施設を開設した事実は、今では国際的によく知られています」(P24)の根拠にしている個所。


「日本軍が民間業者と契約」「戦場後方に『慰安所』を開設」など、「慰安婦」の実態を本当に知っているのかと疑う、とんでも認識。しかも、それが「歴史家の秦郁彦」の著作によるなど、「慰安婦」問題を少しでもかじったことがある研究者なら、目をむくような認識を平気で披露している。残念である。


著者の山崎雅弘氏にいいたい。「慰安婦」問題などで、産経新聞の『歴史戦』の虚構を暴こうとするあなたの著作は、好感を持てる。だが、安倍政権の攻撃に屈した2014年8月の朝日新聞の「検証記事」(吉田証言を虚偽と断定した記事)を擁護している一点で、底の浅い内容になっている。残念である。


いまさらながらだが、私の関連HPと著作を紹介しておきたい。山崎雅弘氏は少なくとも、私の指摘に聞く耳をもたない人とは思いたくないからである。
http://masato555.justhpbs.jp/newpage113.html
緊急出版 吉田証言は生きている 慰安婦狩りを命がけで告発!初公開の赤旗インタビュー
「慰安婦」問題の現在―「朴裕河現象」と知識人
極秘公文書と慰安婦強制連行 (外交史料館等からの発見資料)


山崎雅弘氏は若い研究者だが、吉見義明氏は著名な学者なので、なおさら残念である。彼は毎日新聞9月13日夕刊のインタビュー記事【注】で「軍隊とともに…慰安婦狩りをした」という吉田証言について「私自身…最初から吉田証言を採用していません」とのべ「誤り」だとしている。
【注】毎日新聞2019年9月13日夕刊「特集ワイド:『慰安婦問題はデマ』というデマを考える 『歴史修正』が日本おとしめる 中央大名誉教授 吉見義明さん」
【追伸】吉見義明氏のこの認識は、新著『日本軍慰安婦』(2025年、岩波新書)P107でも、まったく変わっていません。残念です。



吉見義明氏は「慰安婦」問題では一種の権威になっており、彼の吉田証言を否定する消極的な姿勢が、そのまま同問題の市民運動の一部にも検証なく持ち込まれている。残念でならない。私たち一人一人が事実に基づき、自分の頭で考えることが、この問題ではいっそう重要に思う。


この問題では、吉見義明氏とともに、彼を擁護する学者の外村大氏について、私の2つの批判論評がある。参考にリンク先を紹介したい。
①http://masato555.justhpbs.jp/newpage165.html
②http://masato555.justhpbs.jp/newpage119.html


【kmax@b8orbNd‣8月1日】さんからのツイート
「私たち一人一人が事実に基づき、自分の頭で考えること」これ、素人の私たちにはとても難しい。
南京事件は、多角的に検証する歴史学者らのグループがあり、私も一時追いかけていました。
慰安婦問題は「吉見義明氏の本を読んでおけばいい」という感覚でした。今田さんの吉田証言論を読み驚きました。


ありがとうございます。


【kmax@b8orbNd‣8月1日】さんからのツイート
慰安婦問題は勉強不足で、今田さんのご指摘も全く咀嚼できておりませんし、自分で追いかける余裕も今は無く、いつできるかも分かりませんが、解決済みと思っていた問題がそうでないことを知りました。ありがとうございました。


この問題は、故・安倍晋三氏など自民党極右勢力が深くかかわっている、大仕掛けの世論誘導がされ続けているものだと考えています。私の研究など、ほとんど力にはならないかもしれませんが、あきらめずがんばります。これからもよろしくお願いします。


(以下の伊藤健さんのツイートが)参考になります。


【伊藤健@ken2548】さんからのツイート
前著『従軍慰安婦』(#吉見義明 95年)以降の30余年間に新たに判明した知見などを使って#新しく書き下ろした?(「はじめに ⅳ」)かに謳う今年7月の新著『#日本軍慰安婦』も、吉田清治さんの証言は…残念ながら前著同様 一切‼️排除されているようです。






私も賛同する。
~〈正義連〉声明 李在明大統領は前政権の過ちを繰り返さず、歴史的正義の実現に積極的に取り組め!


本日(2025年9月1日)の「関東大震災102周年・朝鮮人犠牲者追悼式典」(東京・横網町公園)と、昨日の「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺102年犠牲者追悼大会」(東京・明治大学)に参加した。猛暑の中、いずれも会場いっぱいの参加者があり、戦前の植民地支配下の朝鮮人への大虐殺の事実に怒りを新たにした。






(承前)追悼大会では、第2部の安田浩一氏の講演が出色。当時の虐殺現場を訪ね、写真で紹介しながら説明。虐殺が「震災の混乱の中」はなく、当時の政府・行政が起こしたことをわかりやすく指摘。
ユーチューブは以下を参照して。
【第1部】
【第2部】


(承前)安田浩一氏の講演は戦前の朝鮮人大虐殺事件だけでなく、現在進行中の埼玉県川口市のクルド人差別についても言及。トルコのクルド人難民の出現の構造や、日本政府の非人道的な外国人政策を指摘。差別反対だけでなく、解決への方向を示したことに感銘。写真は安田氏の講演の様子(今田撮影)。




(承前)安田さんは、さすがである。虐殺が「地震の混乱」の中で起きたとする言説に疑問を投げかけた点だ。地震とは時も場所もかけ離れた「中津川」と「木本」の2つの朝鮮人虐殺事件を示し(添付のレジュメ)、そこに共通する植民地支配こそ真の原因だと指摘したことである。






(承前)関連して、朝鮮人と間違えられて殺されそうになった千田是也氏の証言がある。当時の日本人が「朝鮮人が日ごろの恨みで大挙して日本人を襲撃している」というデマを信じ、虐殺したという。つまり、過酷な植民地支配に対する報復への恐れが、虐殺の底流にあった。
【以下のツイートを参照】


【横山祥一(전상일)@sICknXi7EwcKLRL】さんのツイートから
朝鮮人に間違えられて殺されかけた千田是也氏の証言 - 読む・考える・書く


(承前)筆者は「証言からは、当時の日本人が、朝鮮人による『仕返し』をひどく恐れていたことがわかる。自分たちが日頃いかに朝鮮人に対してひどい扱いをしているか分かっているからこそ『弱くなったらこっちがやられる』と感じていた」という。植民地支配の「ひどい扱い」こそ虐殺の真の原因である。


【参考情報】
関東大震災から102年 駐日韓国大使代理「過去を直視すべき」


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