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(2016年7月17日からカウント)


☆リポート「イカ漁いっせい休業と『イカ調整品』の輸入増加」


連載A「がんばっていて赤字というのはつらい」と漁師

(2013年5月17日初稿、何回かの改定後の5月21日に確定)
          経済ジャーナリスト 今田真人


 日本海を回遊するスルメイカを追う漁船

 日本海のスルメイカは、南の海域で生まれ、春から夏にかけて、北の方に移動します。
 そして、北の海で成熟すると、冬には日本海を南下します。
 このように日本海を回遊するスルメイカを追って、日本各地のイカ釣り漁船が漁場に終結します。
 いまの漁場はどこか。
 5月15日朝、全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)を訪ねました。担当者によると、最近の漁場は、石川県沖だということでした。
 すぐに石川県漁業協同組合に問い合わせ、15日夜、飛行機で石川県に飛びました。


 箱入りのスルメイカを次々に水揚げ

 大きな朝日が水平線上に顔をのぞかせた16日午前5時すぎ、タクシーで金沢港の水産埠頭(ふとう)に到着。
 午前5時半ごろから、小型イカ釣り漁船(19トン型)が1隻、また、1隻と、岸壁に着け始めました。
 真夜中に沖合で釣り上げたスルメイカの水揚げが目的です。
 船尾に書かれた漁船の所属県名を見ると、ほとんどが北海道や青森県。中には長崎県の漁船もあります。
 地元の福井県所属の漁船は2〜3隻か。
 午前6時すぎには、イカ釣り漁船の着岸がピークになりました。
 着岸すると、氷といっしょに入ったスルメイカの箱を、県漁協の職員らが、長いローラーの上をすべらせながら陸に上げます。
 それをフォークリフトで隣接する卸売市場「かながわ総合市場」に運んでいきます。
 午前7時過ぎには、水揚げはほぼ終了。
 石川県の沖合に集結し、深夜に強力な集魚灯をつけてスルメイカを獲る独特な漁法。
 水揚げを済ませた午前7時過ぎから、昼すぎまでが、漁師らの船上での睡眠時間だといいます。


 漁師に話を聞く

 「円安で燃料費が上がって大変です」
 長崎県からきて16日の水揚げが初漁という若い男性の船長に、睡眠前の時間なのに無理を言って、話を聞きました。
 この日の漁獲量は110箱と言います。
 「1日100箱を切ったら赤字でしょうね」
 採算点ぎりぎりだと、顔をくもらせます。
1箱(平均的な約30匹入り、5キログラム)の売り上げを1500円とすれば、売り上げは15万円。
 それなのに、集魚灯の発電や漁船の動力に使う「A重油」代だけで、1日10万円かかると言います。
 それに、箱代、氷代、漁協への20%の手数料が加われば、コストは1日15万円に。100箱では、人件費も出ない、ただ働きとなります。
「(政府に訴えたいことは)がんばっていて、赤字というのはつらい」
 なぜ、燃料代などを価格に転嫁できないのでしょうか、と問うと、船長は、「なんででしょうね」と少し首を傾けました。


 次々と着岸する小型イカ釣り漁船=5月16日早朝、石川県の金沢港水産埠頭


 着岸した漁船からローラーを使ってイカ入りの箱を運び上げる石川県漁協の人たち=5月16日早朝、石川県の金沢港水産埠頭


イカ釣り漁の実情を話す長崎県からきた船長の男性=5月16日早朝、石川県の金沢港水産埠頭


☆ユーチューブで、金沢港での取材映像が視聴できます。下線のある文字をクリックしてください。
 ◎金沢港に次々と入港し、水産埠頭にスルメイカを水揚げする小型イカ釣り業船(2013年5月19日早朝)
 ◎金沢港に入港した小型イカ釣り船の船長にインタビュー(2013年5月19日早朝)


 (連載Bにつづく


 ☆各回へのリンク
 連載@国内漁獲量が3分の1に
 連載A「がんばっていて赤字というのはつらい」と漁師
 連載B卸売価格が暴落
 連載C輸入割当の効果と限界
 連載D「〇〇うどん」の「イカ天」

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