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(2025年9月28日からの閲覧回数)


☆キボタネ韓国ツアーの報告(2)
(2025年9月6日~のツイート再録)
          フリージャーナリスト・今田真人



【報告2】今回のキボタネ韓国ツアーの報告を順次して行きたい。企画の日程などは➀を参照してほしい。このツアーのすばらしい点は、【報告1】でも少し触れたけど、現地ガイドにユン・ミヒャンさんが付いたこと。彼女は韓国の「慰安婦」運動の中心人物。
【「キボタネ大人ツアー:韓国の民主化運動、日本軍『慰安婦』運動を辿る旅」の日程】




保守強硬派のユン・ソンニョル前大統領が突然の非常戒厳令を宣布したのは昨年12月3日。しかし、それに抗議する共に民主党などの広範な民主的市民らの運動がそれを阻止。今年6月4日に進歩革新派のイ・ジェミョン新大統領を誕生させた。非常戒厳令の内容は➀を参照。
ウィキペディア「2024年大韓民国非常戒厳令」


この非常戒厳令の際に事実上の「殺害計画」として500人余のリストが作成された。いわゆる「ノ・サンウォン手帳」である=➀を参照=。日本では知られていないが、そのリストの「A級逮捕対象」にユン・ミヒャンさんが入っていた=②を参照=
ハンギョレ新聞「『500人回収、射殺、北朝鮮の攻撃誘導』…元情報司令官の手帳、特検で糾明すべき
韓国のネット新聞「アイ・ニュース」の記事~ユン・ミヒャン:「私がA級逮捕対象ですか? おまけの人生はもっと力強いものになるだろう」




これは保守強硬派のユン・ソンニョル前大統領らが、「慰安婦」問題の女性活動家の中心人物であるユン・ミヒャンさんをいかに恐れていたかを示す。彼女は韓国の保守強硬派の勢力から激しいバッシングにさられた。日本での報道は一方的に、彼女がまるで極悪人のように描かれるが、実際は真逆である。


韓国の新大統領を誕生させた底力は、韓国の民主化運動の歴史と経験、そしてユン・ミヒャンさんら女性たちの日本軍「慰安婦」運動である。ツアー4日目に訪れた植民地歴史博物館で視聴したドキュメント動画が以下でも公開されている。日本ではわからないその息吹を感じてほしい。

【우리가 함께 만든 민주주의의 역사――민주주의와 깃발】
(私たちが共に作り上げた民主主義の歴史――民主主義と旗)




2025年4月4日、大勢の市民が見守る中、韓国の憲法裁判所が大統領の罷免を宣告するシーン。判事は「時刻は午前11時22分。主文。被請求人の大統領、ユン・ソンニョルを罷免する」と話している。大型スクリーンには〝憲法擁護の観点から容認できない重大な違法行為だ”とある。(同上の動画5:46~)






韓国の憲法第1条は、正確には、以下のように書かれている。
「第1条
①大韓民国は民主共和国である。
②大韓民国の主権は国民にあり、全ての権力は国民から生ずる。」

【韓国憲法第10号(第六共和国(現行)憲法)~大韓民国憲法[全文改正1987.10.29憲法第10号]】


なお、ユン・ミヒャンさんへの韓日の右派勢力による激しいバッシングに対する反論は、以下のユーチューブを参照ください。キボタネ韓国ツアーの事前説明会でヤン・チンジャさんが紹介したものです。

【日本軍『慰安婦』問題解決全国行動~230305 事実上の無罪!尹美香裁判とは、正義連バッシングとは何だったのか】


すばらしい内容です。ユン・ミヒャンさんの疑惑はすべて冤罪であることがよくわかります。

【日本軍『慰安婦』問題解決全国行動~230305 事実上の無罪!尹美香裁判とは、正義連バッシングとは何だったのか】


ユン・ソンニョルの非常戒厳令の宣布から解除、国会の弾劾訴追案可決、そして憲法裁判所の罷免決定までの、約4カ月に及ぶ市民の連続街頭デモを記録した迫力あるドキュメント。日本語字幕は、機械翻訳で少し意味不明だが、右下の歯車マークを右クリックして設定できる。

【우리가 함께 만든 민주주의의 역사――민주주의와 깃발】
(私たちが共に作り上げた民主主義の歴史――民主主義と旗)




この連続街頭デモには個性的な旗がいくつも登場、夜はろうそくとペンライトがたくさん登場。「光の革命」と呼ばれる。旗やペンライト一部は、ツアー4日目(9月9日)に訪問したソウル駅近くの植民地歴史博物館に寄贈され、旗は建物外側にびっしり飾られ、1階の展示室にもペンライトが展示されています。(写真)






ツアー5日目。最後に訪れたのが、正義連(挺対協の現在の名称)主催の「水曜デモ」。旧日本大使館前で、日本軍「慰安婦」問題の真相究明、被害者への謝罪と賠償を求める。1992年1月8日水曜日から毎週水曜日に開催。今回の9月10日で1717回。冒頭の歌とダンスに韓国女性のパワーを感じる。




韓国の民主化は、朴正煕や全斗煥らの軍事独裁政権に対する国民の闘いで実現(表)。ツアー参加者の事前説明会では、韓国映画「ソウルの春」、「光州5.18」、「タクシー運転手」、「1987 ある闘いの真実」が紹介された。アマゾンプライム・チャンネルKで視聴可能。

【世界史用語解説 授業と学習のヒント「大韓民国/韓国」】


また、韓国の軍事独裁政権は在韓米軍のほか、日本政財界と通じる、戦前の日本帝国の「親日派」らによって支えられた。その構図は、ツアー4日目に訪問した植民地歴史博物館の展示に示されていた。典型が「満州国軍将校」出身の朴正煕大統領。展示の『親日人名辞典』に明記されている。(録画・写真)






韓国では日本軍「慰安婦」の存在は、戦前日本の植民地支配の非人道性の象徴としても、とらえられている。それを象徴する「少女像」「慰安婦像」は水曜デモが行われる旧日本大使館前だけでなく、ツアー3日目(9月8日)に訪問した韓国の独立運動の英雄、安重根像と同じソウル南山公園に設置されている。(写真)






旧日本大使館前の少女像は2011年12月14日、水曜デモ1千回を記念して建立。しかし、2020年5月以降、「正義連バッシング」が激化し、韓国内の右翼団体が旧日本大使館前で妨害行為を始めた。日本と違って、水曜デモも少女像も警察に守られ安全だが、少女像には金属柵で囲われ近寄れない。




2020年5月とは、正義連理事長も務めたユン・ミヒャンさんが、2020年4月の総選挙(韓国は一院制)で国会議員に当選し、与党議員になった時。それから保守系メディアによる、でっちあげの中傷が集中。その卑劣さはリンク先のユーチューブの彼女の発言でもよくわかる。

【日本軍『慰安婦』問題解決全国行動~230305 事実上の無罪!尹美香裁判とは、正義連バッシングとは何だったのか】


ユン・ミヒャンさんは執行猶予つきの懲役刑を言い渡されていたが、李在明(イ・ジェミョン)新大統領の下、今年8月11日、政権から特別赦免(恩赦)を与えられ、その冤罪のような判決は、晴れて無効となった。

【聯合ニュース~韓国政府 曺国元法相・尹美香(ユン・ミヒャン)前議員らを恩赦】


ところで旧大使館前の少女像は、韓国右翼の妨害などで近寄れないが、まったく同じ少女像が、正義連が運営する「戦争と女性の人権博物館」内に設置されている。ツアー参加者は4日目に訪問。私もバーチャルで映り出された日本大使館を見つめる、この少女像の隣の椅子にすわり、記念写真を撮った。






参考になります。

【ウィキペディア~親日人名辞典】


日本大使館前の少女像については、「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展」(2019年)の狂騒を思い出す。日本では某市長(当時)が先頭に立って攻撃。一方、女性市民運動が建立し、警察が守り、さらに博物館でも展示する韓国。その民主主義の彼我の差に愕然とする。

ハフポスト【「表現の不自由展」は、どんな内容だったのか? 昭和天皇モチーフ作品の前には人だかりも《現地詳細ルポ》】


ツアー4日目(9月9日)に訪れた植民地歴史博物館での動画視聴の様子。同館職員が日本語で解説(添付動画)。この動画は、同館職員が市民の協力を得て作成。ユーチューブ説明文からは、多数のデモ参加者のインタビューを紹介するサイトにもリンク可。



サイト【今日の民主主義を記録する】

(インタビュー欄)



ユン・ソンニョル弾劾デモには多くの市民が各々、旗をつくった。植民地歴史博物館のサイトには「二度と踏みつけられないという決意」「風を待たずに体で風をつくってはためいた旗」の文がある。市民が民主主義を実現するために、断固たる決意で自発的に参加した様子がわかる。

サイト【今日の民主主義を記録する】



以下、【報告】(3)に続く。


【各回へのリンク】
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(1)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(2)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(3)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(4)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(5)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(6)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(7)
☆2025年9月6日~10日、キボタネ韓国ツアーの報告(8)

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